「デニムと暮らす」

2018.06.09寝具ストーリー

保険外交員という仕事柄、平日は当然スーツスタイル。ピシっとつねに肩を張っているわたしの姿しか見ていない友人・知人は、実は私がデニム愛好家であることを知らない。休日はもっぱら太めのジーンズやオーバーオールにTシャツ。このスタイルで銀座のど真ん中を歩くことだっていとわない。デニム生地の、体になじんでゆく過程、色や質感の変化、その全てが好きなのだ。

その出会いは学生の頃にみた古い映画。今や主人公の代名詞ともなっている真っ赤なジャケットよりも、わたしはむしろブルージーンズの方に目を奪われていた。わたしも自分の1日1日を、デニムの風合いに刻み込みたいと思った。2018年の現代、色とりどりの華やかな衣装に身を包んだ世の女性の中でこのスタイルを貫くことは、わたしのささやかな「理由なき反抗」なのかもしれない。

デニムというと、ジーンズに代表される織物でアメリカにおける自由の象徴、というイメージが強いのだが、素材の発祥がフランスであることはあまり知られていない。南フランスのニームという街の名前が、語源ともなっているのだ。その後、イタリア・ジェノバでジーンズとして生産され、アメリカに渡り普及することとなるのだが、出航の際、荷札に < Genova > をフランス語で < Gênes > と記していたため、アメリカで英語風に< Jeans >と呼ばれた、とされている。

今までは「触れる」ものであったデニム素材を「踏む」というこの感覚。その丈夫さゆえ、スリッパとしての機能を果たすのは納得だが、足の裏で感じる感触はまたひと味違ったものとなる。今までのジーンズとも、今までのスリッパとも違う感触。そして日々変化する味わい。このスリッパはあと何年使えるか、何代目まで使い続けられるか、今から楽しみだ。