【見分け方解説】蕁麻疹とダニなどの虫刺されの違い｜それぞれの対処法や効果的な薬の選び方

肌に痒みを感じたときに「蕁麻疹かダニなどの虫刺されか分からない」と悩む人も多いでしょう。蕁麻疹と虫刺されは症状が似ているため、見分けがつきにくいです。本記事では、蕁麻疹とダニなどの虫刺されの見分け方や、それぞれの対処法などを解説しています。蕁麻疹か虫刺されか悩んだときは、参考にしてみてください。

蕁麻疹とダニなどの虫刺されはどう見分ければいい？

蕁麻疹とダニなどの虫刺されの症状は似ていますが、見た目や痒みに若干の違いがあります。ここでは、蕁麻疹とダニなどの虫刺されの見分け方を解説します。

蕁麻疹の症状

蕁麻疹は、皮膚の一部がくっきりと赤く盛り上がるのが特徴です。蕁麻疹があらわれる場所は様々で、痒みだけではなくチクチクとした痛みがあらわれる場合もあります。痒み・痛みは数十分から数時間以内で治まることもあれば、1日程度続くこともあります。

ダニの症状

ダニは、小さくて赤いしこりのようなブツブツが複数できるのが特徴です。お腹や太ももの内側が刺されやすく、顔や手足が刺されることはほとんどありません。強い痒みがあらわれ、数日から1週間以上続くこともあります。

その他の虫刺されの症状

ダニ以外の虫刺されは、虫によって症状が異なるため見分けるのは難しいです。見た目に明らかな異常があるときや、痛み・痒みが1週間以上続く場合は皮膚科を受診しましょう。

蕁麻疹の対処法と効果的な薬の選び方

蕁麻疹ができたときは、薬で対処するのが一般的です。早い段階で症状を和らげるためにも、ポイントを抑えて効果的な薬を選びましょう。

症状が一時的なら市販薬で対処可能

症状が一時的な蕁麻疹は、市販薬で対処できることが多いです。ただし、数日間使用しても症状がよくならない場合や繰り返し症状が出る場合は、皮膚科を受診して医師に相談しましょう。

効果的なクスリは抗ヒスタミン薬

蕁麻疹には、抗ヒスタミンの成分が入った薬が有効です。抗ヒスタミン薬には、第一世代（ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど）と、第二世代（メキタジン、アゼラスチンなど）があります。第一世代は即効性はありますが眠気が出やすく、第二世代は即効性は劣るものの比較的眠気が出にくいです。生活スタイルや症状の強さなどを考慮して、自分に合った薬を選びましょう。

蕁麻疹は疲労やストレスによって悪化する

蕁麻疹は疲れやストレス、生活習慣など様々な要因が絡み合って発症します。また、疲れやストレスは蕁麻疹が悪化する一つの要因になる可能性があります。食事や睡眠をしっかり取り、日頃から疲れやストレスを溜めないように心がけましょう。

ダニなどの虫刺されの対処法と効果的な薬の選び方

ダニなどの虫刺されも、蕁麻疹と同じく薬で対処するのが一般的ですが、症状が強いときは医師の診察が必要です。症状を悪化させないように十分に注意しましょう。

症状が強い場合は診察が必要

虫刺されの薬は、虫の種類ではなく症状によって選びましょう。ただし、痒みが強い場合や、腫れが酷いときは皮膚科を受診しましょう。特に子どもの場合は、我慢できずに搔きむしると細菌が皮膚に感染し「とびひ」になる恐れもあります。「とびひ」は人にうつる病気のため注意が必要です。

効果的な薬は抗ヒスタミン薬や鎮痒剤など

軽い症状の虫刺されは、抗ヒスタミン薬や鎮痒剤で対処可能です。しかし、痒みや炎症が強い場合は、ステロイド薬が必要となります。ステロイド薬は成分によって使用できる部位や頻度が異なるため、使用する際は用法用量をしっかり確認しましょう。

蕁麻疹やダニなどの虫刺されに市販薬を使用する際の注意点

蕁麻疹やダニなどの虫刺されに市販薬を使用する際は、いくつかの注意点があります。使用方法に気を付けて、なるべく早く蕁麻疹や虫刺されを治しましょう。

副作用が出やすい

蕁麻疹やダニなどの虫刺されに効果がある抗ヒスタミン薬は、副作用に眠気が出やすいです。服用中は車の運転や機械の操作は控えた方がよいでしょう。眠気によって仕事や学業に影響が出そうなときは、前述したように第二世代の抗ヒスタミン薬を選ぶのも一つの方法です。

改善しない場合は医師に相談する

抗ヒスタミン薬や鎮痒剤は、長期的に使用し続けるのは避けましょう。薬を使用してから1週間経っても症状が改善しないときは、医師に相談するのをおすすめします。強いアレルギー反応が出ている場合は、緊急性が高いためすぐに病院を受診しましょう。

ダニが発生しやすい環境とは？

ダニ刺されを防ぐためには、ダニが発生しないように環境を整えることが大切です。ここでは、どんな環境にダニが発生しやすいのかを見ていきましょう。

人のフケやアカなどが落ちている

ダニは、人のフケやアカ、髪の毛、食べかすが落ちている環境を好みます。ダニはこれらを餌にして成長し、卵を産んで増殖してしまいます。部屋の汚れは放置せず、すぐに拭きとったり掃除機をかけたりして清潔な環境を保ちましょう。

高温多湿である

ダニは1年中生息していますが、特に気温20〜30℃、湿度60〜80％の高温多湿を好みます。そのため、梅雨や夏の時期はとくにダニが発生しやすく、増殖の危険性が高いです。冬は空気が乾燥しているため大丈夫だと思いがちですが、加湿器を使用しすぎると湿度が高くなりダニが発生する可能性があるため注意しましょう。

畳や絨毯、衣類などに潜んでいる

ダニはカーペットや枕、布団、ソファ、畳などに住みつきやすいです。ダニは高温多湿かつ暗い場所を好んで産卵するため、掃除機をかけたり、洗える物はこまめに洗濯したり汚れを溜め込まないようにしましょう。

発生したダニを駆除するには？

発生してしまったダニをどう駆除したらいいのか困っている人も多いでしょう。ダニは高温と乾燥に弱い生き物で、湿度50％以下、60℃の高温で死滅します。とはいえ湿度と温度を管理するのはなかなか難しいため、くん煙剤を使ってダニを駆除するのがおすすめです。くん煙剤を使った後は換気をして、掃除機でダニの死骸を吸い取りましょう。子どもやペットがいてくん煙剤を使うのが心配な人や、アレルギー体質でダニを完全に駆除したい人は、ダニ駆除の専門業者に依頼をするとよいでしょう。

ダニに刺されないための対策方法

ダニに刺されないためには日頃の掃除が欠かせません。ダニが繁殖しないように、部屋や寝具は清潔に保ちましょう。

部屋を定期的に換気する

ダニは湿った場所を好むため、天気がよく空気が乾燥している日は窓を開けて換気をしましょう。雨の日でも、できる範囲で換気をするのがおすすめです。除湿機やエアコンの除湿機能を使うのも効果的です。

部屋をこまめに掃除する

ダニはホコリや髪の毛、フケを餌として成長するため、部屋はこまめに掃除をしましょう。ホコリが溜まりやすい部屋の四隅や、食べかすが絡まりやすい絨毯は特に注意が必要です。

寝具を清潔に保つ

寝具には、ダニが好む皮脂やフケが付着しやすいです。定期的に布団を干して汚れを取り除きましょう。丸洗いできる寝具を使用するのもおすすめです。布団を干した後は軽く叩き、最後に掃除機をかけてダニの死骸を駆除しましょう。また、布団乾燥機を使って、布団を高温かつ乾燥した状態にするのもダニ対策に効果的です。シーツや枕カバーはこまめに洗濯をして取り替えましょう。

防ダニ加工の寝具を利用する

寝具の中には、防ダニ加工が施された商品もあります。ダニを寄せ付けない薬剤や、ダニが通過できない高密度繊維が使用されているため、アレルギー体質の人には特におすすめです。

また、防ダニ素材が使用されているマットレスも効果的です。特に、TEIJINの「マイティトップ®Ⅱ ad ECO」という中綿には防ダニ・抗菌防臭効果があるため、こういった素材が側生地などに使用されているマットレスを選ぶのもおすすめです。

絨毯は取り外して掃除する

絨毯はダニが入り込めないフローリングの上で使用し、定期的に取り外して掃除をしましょう。その際、ダニ駆除スプレーやダニ駆除粉末剤などのグッズを使って、ダニ対策をするのがおすすめです。丸洗い可能の絨毯ならば、ダニよけ洗剤を使って洗濯をするとよいでしょう。

くん煙剤を使用する

くん煙剤は、部屋の中の害虫をまとめて駆除できる殺虫剤です。くん煙剤には、噴射力が強く駆除効果も高い「煙タイプ」、煙の量が少なく初めてでも使用しやすい「水タイプ」、煙やにおいがない「霧タイプ」があります。どれもイエダニに強い効き目があるため、他に駆除したい害虫の種類や煙の有無などで、いずれかのタイプを選びましょう。

ダニはアレルギー性疾患を引き起こすこともあるので注意しよう

ダニやダニの死骸、フンを放置しておくと、アレルギー性鼻炎や喘息などの疾患を引き起こす可能性があります。ダニによるアレルギー性疾患は、ダニの死骸やフンがある場所であれば1年中症状が出るため、1度引き起こすと通年目のかゆみや咳、鼻水などに悩まされることになってしまいます。中でもダニのフンは乾燥すると空中に浮遊し、吸い込んでしまう危険性が高いため注意が必要です。

蕁麻疹やダニなどの虫刺されに関するＱ&Ａ

最後に、蕁麻疹やダニなどの虫刺されに関するよくある質問を紹介します。蕁麻疹や虫刺されの症状に不安を感じたときは、信頼できる医師や薬剤師に相談してください。

蕁麻疹にステロイドの塗り薬は効果ある？

日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインでは、蕁麻疹にステロイド外用薬を使用することは推奨されていません。そのため、蕁麻疹への効果は薄いと言えるでしょう。蕁麻疹は全身に症状があらわれやすいですが、ステロイドは広範囲に塗るのは避けた方がよい薬です。副作用が出る可能性もあるため、自己判断で塗布するのはおすすめできません。

参考：日本皮膚科学会｜蕁麻疹診療ガイドライン

虫に刺されたときにステロイドは使わない方がいい？

赤みや痒みの症状が軽い場合は、ステロイドを使う必要はありません。ただし、痒みが強い場合はステロイド配合の塗り薬を塗って、痒みを抑えるとよいでしょう。ステロイドは成分の強さによって用法が異なるため、使用前にきちんと用法用量を確認しましょう。

ステロイドの塗り薬は皮膚が黒くなる？

ステロイドの塗り薬で皮膚が黒くなるという医学的な根拠はありません。しかし、皮膚の赤みが取れた後に色素が沈着し、皮膚が黒ずんで見える「炎症後色素沈着」が起こることがあります。炎症後色素沈着による黒ずみはすぐには消えず、腕の場合は元に戻るまで1〜2年かかります。色素沈着を防ぐためには、赤みや痒みは放置せず悪化させないことが大切です。

まとめ

蕁麻疹とダニなどの虫刺されは症状が似ていて、見分けがつきにくいです。蕁麻疹の症状は数十分から数時間以内で治まり、虫刺されは数日〜1週間以上続くこともあります。蕁麻疹は市販の抗ヒスタミン薬で対処可能ですが、疲労やストレスによって悪化する可能性もあるため注意しましょう。ダニなどの虫刺されは、抗ヒスタミン薬や鎮痒剤で対処できますが、症状が強い場合は医師に相談しましょう。

ダニは、人のフケやアカなどが落ちている高温多湿の場所を好みます。ダニに刺されないように、定期的に部屋を換気・掃除をすることが大切です。寝具はこまめに洗濯しましょう。ダニやダニの死骸、フンを放置しておくと、アレルギー性鼻炎や喘息などの疾患を引き起こす恐れがあります。アレルギー性疾患は完治が難しいため、発症する前に日頃からダニ対策をしっかり行っておきましょう。